第6章:掃除の方程式を使った「汚れ除去の一例」

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場所・部位別編



*動画でご覧になりたい方はこちら↓(一部内容が異なります2016年公開)




掃除の方程式の簡略図

展開図から、現場目線の簡略図に変えて考えると分かりやすいと思う。それぞれの項目に、目的の掃除を行うための、情報を当てはめていき、知識については、インターネットで検索する事もできる。



掃除の方程式を活用して、実際に作業方法を決定するための手順は次の通りだが、下記の手順に沿って具体例を交えて紹介していく。


1. 現状分析情報

(1)汚れの情報

(2)素材の情報


2. 除去力の選出

(1)用具の選出

(2)洗剤の選出


3. 作業方法の決定

(1)付加条件

(2)準備

(3)作業前パッチテスト

(4)作業内容



1. 現状分析

(1)汚れの情報



キッチン壁面の汚れは油汚れとホコリ汚れの混合汚れ、汚れの頻度は少なく全体的にうっすらと汚れている程度、少しベタつきもするが付着力はそれほど強くない。

レンジ周り天板は、局所的に汚れが積み重なり「かさ高固着物」となっており、経時変化に伴い硬く頑固な汚れとなっている。



(2)素材・場所の情報


場所:汚れが付着している場所はキッチン(台所)のガスレンジ周り。


部位:カウンターは壁面とガスレンジを除く周辺の天板。壁面は若干ではあるが目線より高い高所あり。


素材:壁面(手の届きにくい高所含む)の素材は、凹凸のない耐水・耐洗剤性のあるキッチンパネル。カウンター天板の素材は、凹凸のない耐水・耐洗剤性のある人工大理石。


*これらの情報をもとに、汚れを除去する作業内容を考える。


2. 除去力の選出

(1)用具の選定

付着力の弱い汚れ除去における、素材を傷つけないように考慮した用具として、マイクロファイバータオル・スポンジ・メラミンスポンジ・ブラシ類・キッチンペーパー、洗剤を使用する場合はゴム手袋を着用すると肌が弱い人でも手荒れ等を防ぐ事が出来る。


すすぎ作業は、近くに水場(シンク)がない場合はバケツ等も必用となる。


高所作業のための用具として、汚れ除去の作業をしやすい高さ(対象となる汚れが目線より低い位置に来る)を得るための、踏み台や脚立等。



(2)洗剤の選定

洗剤は取り扱いのしやすい中性洗剤を使用し、スプレー容器に入った物を選び、汚れの落ちを確認しながら行いたいので、汚れ落ちが悪いようなら弱アルカリ性洗剤と、徐々に化学的な除去力を強めて行く事で、使用者への洗剤付着(肌や呼吸に伴う吸入など)への健康リスクおよび、素材や飛散の際のリスクを軽減出来る。


また、洗剤の上手な使い方を活用することで、作業効率を上げることができる。



3. 作業方法の決定

(1)付加条件

 作業者の肌は弱いので、肌荒れを気にしているため対応が必要。



(2)準備

始めに、汚れても良い服装など、頭部も含む作業者の納得のいく服装に着替える。


次に、作業に伴うホコリなどの飛散が予想できるので、窓空け換気やレンジフードなどの機械換気を活用して(*機械換気使用の場合は、自然給排気口があるときは、開いている事を確認しておく)、作業前から十分な換気対策を行っておく。


その後、作業場所にあるものを移動する等片付けを行い、掃除作業が出来る環境を整える。


移動出来ない物には、新聞紙やビニールシート等で養生を行い、作業に伴う洗剤や汚れの飛散への予防対策をしておく。


必要な洗剤や用具を揃える。


肌荒れ防止対策として、ゴム手袋も用意しておく(*ゴム手袋の使用と、除去力の弱い洗剤から試して汚れ落ちを確認していく)。



(3)作業前パッチテスト

本作業に入る前に、目立たない場所でテストを行い、作業内容を決定する。

水で濡らし絞ったマイクロファイバータオルで、目立たない箇所でどの程度汚れが落ちるか確認する。


汚れ落ちが悪いようなら、次に、水で濡らしタレない程度に絞ったメラミンスポンジで優しくなでるように擦る。

ここまでの作業で落ちる汚れなら、洗剤は必要ないとも言える。


汚れも多く、用具に汚れが目詰まりするなど作業性や仕上がりに問題を感じた時は、洗剤の活用を試みる。

スポンジに中性洗剤を塗布して、目立たない箇所で汚れ落ちや作業性をテストしてみる。この時、洗剤の力を上手に使うためにも、スプレー容器を温めて使用したり、洗剤の反応時間を少しでも長く保つために、キッチンペーパーなどで湿布するなどの裏技的アイデアも考えられる。(*中性洗剤で落ちないほど汚れが頑固な場合は、メラミンスポンジを併用するまたは洗剤を弱アルカリ性と、除去力を強くしていく。)


今回は、肌荒れ対策を兼ねて、中性洗剤を使う仮定で作業内容を決定する。



(4)作業内容

水で濡らしタレない程度に絞ったスポンジで、作業対象となる壁面全体優しく拭き、表面の汚れを軽く取り除き湿らせる。

これは、壁面上部で洗剤を使用する際タレ跡が残りやすいので、それを軽減させる意味でも行う。


スポンジを水で濡らした後絞り、洗剤をスポンジにスプレーして泡立て、対象となる汚れに洗剤を壁面したから塗布していく。

この時点で汚れ落ちが悪いようなら、その後素早く汚れの上にキッチンペーパーをのせて、その上からさらに洗剤をスプレーする。

キッチンペーパーが湿布の役目を行うので、壁面に洗剤が停滞し汚れを分解してくれる。


この時、洗剤が垂れないよう汚れ下壁面にタオル等を押し当てておくと、壁面以外の場所への保護につながる。


5分以上放置し(汚れの頑固度合いにより浸け置き時間は変化する)、汚れを分解し柔らかくなったところで、水で濡らしタレない程度に絞ったスポンジで拭き取る。

汚れ落ちが悪いようなら、水で濡らしタレない程度に絞ったメラミンスポンジで優しく擦る。


それでも汚れが残るようなら、洗剤湿布〜メラミンスポンジで擦る作業を繰返す。


最後にすすぎ作業として、水で濡らし絞ったマイクロファイバータオルで拭き上げる。


凹凸面の掃除では、ブラシ類を活用すると良い。例えば、ガスレンジとカウンター天板との境目など、ブラシの毛先を上手に使い、毛のしなる力を活用して汚れをかき出す。

除去力の強弱は、毛の硬さや材質などの違うブラシを使うことで、変えていく。


目線より高い高所となる作業の場合、無理に背伸びをして作業などを行うと、他との仕上がりの違いや作業効率も悪くなるので、踏み台などを使用して作業を行う。


この時、無理な姿勢などから、踏み台がずれたり足を滑らせたりして転倒・転落しないよう、安全への配慮も重要である。

家庭内事故でも、踏み台や脚立からの転倒・転落事故の割合は高く、掃除のプロの世界でも事故原因のトップになっているほどである。

踏み台などは「大して高くない」と油断していても、転倒・転落して周りの家具や壁に頭を打つなど、思わぬ大けがになることもあるので、安全への配慮は怠ってはならない。


さらに、予防としては、よごれを見つけた時にサッと掃除が出来れば、汚れ除去は簡単であり、すぐに掃除が行えるようマイクロファイバータオルをキッチンのすぐ手の届くところに常備しておく等も、汚れ付着後の経時変化による頑固な汚れへの予防になる。


カウンター天板の「かさ高固着物」汚れの除去作業は次に記す。




汚れ・形状編「かさ高固着物」

掃除の方程式と基礎知識を使って除去方法を決定する

掃除の基礎知識を活用した汚れの除去例をつぎに紹介する。キッチン流し台のカウンター(天板)に、料理の際にはねた油が積み重なり、時間の経過とともに固く頑固な汚れとなってしまった。

今回は、カウンター天板の素材がステンレスの場合を想定して、この汚れを除去するには・・・という設定で話を進める。


1.

素材別作業法

素材の材質はステンレスを使用しており、部位が天板のため傷がつくと目立つ。頑固な汚れ除去の際、“こする”または“削る”などの作業を行う場合には傷がつかないよう注意が必要である

汚れ別作業法

汚れは水になじまない油溶性物質で、経時変化により硬い“かさ高固着物”となっている。

汚れを除去するには洗剤など化学的力を使って溶かしたり、かさ高の部分については“こすり取る”または“削り取る”などの物理的な力を用いることで、汚れの除去を容易にする。

2.

洗剤の使用(化学的な除去力)

水になじまない汚れを除去するために、弱アルカリ性の洗剤を使用する。

添加剤として溶剤が入っている物もある。

洗剤を塗布してからしばらく放置する事で、洗剤成分が汚れ物質を分解する時間となる。

このとき、洗剤自体を40℃前後に温めておくと、汚れが早く分解する。

3.

用具の使用(物理的な力)

洗剤により汚れの表面が溶け出したら、ケレン類などの用具を使い、汚れのかさ高の部分を削り取る。

このとき汚れが付着しているステンレス素材は、硬い素材で作られた用具を使用すると傷がつきやすいので、プラスチック素材で作られた「ヘラ」や「カード」などのしなる力を、物理的な除去力として使用するとよい。

4.

作業方法の知識(化学的な力+物理的な力)

汚れのかさ高の部分を、削り取ったあと少し残った汚れは、再度洗剤をつけて汚れを分解し、スポンジで軽く“こする”などして除去する。

作業の際、ステンレス建材は傷が付きやすいので、目の粗いスポンジなど強い物理的な力には注意が必要である。


5.

作業方法の知識(すすぎ作業)

建材に洗剤が残らないように、水で濡らしよく絞った雑巾などで水拭きする。

その後、乾いたキレイな雑巾で拭くことにより、水拭き作業で残った水の跡を消し、仕上げの磨きをかけるとよい。

6.

予防は?(保護剤の知識など)

汚れ予防として保護剤を塗布しておくと汚れにくく、汚れが付着しても除去しやすくなる。キッチンは水場でもあるので、耐水性または撥水性のある防汚コーティングなどを使用するなどの方法もある。



今回紹介した汚れの除去例は、部分的な作業だが、範囲が広く全体的な掃除になるほど、複雑で多くの知識や作業法を組み合わせていくことになる。


しかし、掃除の方程式が指標的役割を果たし、各項目に当てはめて考えていくことで、複雑な掃除方法も、決定しやすくなった。


掃除の方程式を活用した、住まいの掃除方法については、別紙「住まいのお掃除マニュアル」にて紹介している。



第6章では、「予防の知識」 について解説したいと思う。



著者:植木照夫(クリーンプロデューサーベスト株式会社 代表取締役、掃除学研究所所長)

植木照夫の掃除学研究所

掃除学研究所は、植木照夫により発案された、掃除理論の集約的公式「掃除の方程式(うえきの方程式)」と「掃除がラクになる法則(うえきの法則)」を基に、幅広く関連知識をまとめた新しい学問の研究サイトです。