第1章:掃除の方程式(別名:うえきの方程式)

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掃除は、追求していくと一つの学問と言える。しかし、掃除方法を考える時に必用とされる指標的な公式はなく、どのように掃除を行えば良いのか?

考え方の基本手順は複雑化され「各種掃除方法」といった「答え」の情報だけが溢れている結果となった。

このような背景の中、もっと「ラク」に掃除方法を考える為に考案された「掃除の方程式(うえきの方程式)」は、掃除理論の集約であり、掃除の歴史に残る公式ではないだろうか。


掃除の方程式とは、ズバリ、現状分析×作業法=掃除方法決定である。

そして、掃除方法を考える時、作業方法や掃除用具・洗剤を選ぶことよりも、現状分析を始めに行うこの方程式に、学問としての理論的価値が多くあるのである。




*動画でご覧になりたい方はこちら↓(一部内容が異なります2016年公開)

*動画では、「第1回:はじめに〜掃除の方程式概要」となっている。


掃除の方程式と基礎知識

掃除の方程式発案背景と、基礎知識について説明する。

掃除の国家資格設立に伴い、掃除に関する必用な知識等はまとめられ、以前から紹介されていた。(*昭和57年5月職業能力促進法(旧・職業訓練法)に基づき、技能検定の職種としてビルクリーニング技能が加えられ、国家検定として認められた。ビルクリーニング技能検定合格者には、厚生労働大臣より合格証が交付され、技能士の称号が与えられる。:全国ビルメンテナンス協会より引用)

 資格取得のためには多くの知識が必用であり、掃除だけでなく関連する様々な知識や法律もあり、直接仕事に関係ない知識は、時間の経過とともに忘れてしまう。

さらに、様々な掃除方法も紹介されているが、必ずしも同じ状況ではないためそのまま活用するには不安や不便さも残る。

ある程度はパターン化できるが、厳密には汚れや建物は様々な環境要因により個々の形状や構造をしているので、掃除もそれに合わせた作業方法が求められるからである。

もっと現場で活用しやすいように、知識活用の指標的役割を果たす方程式的なものができないだろうかと考え、個人的に掃除の基礎知識をまとめてみたことが、掃除の方程式発案の原点となった。

掃除の方程式とは、より多くの人に掃除理論の理解や活用してもらえるよう、資格に関連する教科書の中から、掃除に必要と思われる基礎知識と私の現場経験を基に、シンプルにまとめた「掃除の基礎知識」でもある。

* 掃除の国家資格【ビルクリーニング技能士】・【建築物環境衛生技術者】・【清掃作業監督者】などの教科書や専門資料の画像



教科書の中でも注目したのは、「ビルクリーニング5原則」に代表されているように、「建材の知識」・「汚れの知識」・「洗剤の知識」・「作業方法の知識」・「保護材の知識」だった。

しかし掃除方法を決定する際、それらの知識の活用法となる指標的な公式がなく、現場で使うには問題もあった。

掃除の国家資格取得に伴う確かな知識と豊富な実務経験により、その問題点を解決する為に「掃除の方程式(うえきの方程式)」を考案し、その方程式を追究していくと掃除予防となる「掃除がラクになる法則(うえきの法則)」があることに気付いた。

掃除の方程式では、「ビルクリーニング5原則」の建材の知識を「素材の知識」に変更している。

汚れは必ずしも建築材料(建材)だけに付着するのではなく、家電や家具やカーテンなど様々な生活用品にも付着するので、建材を含めた「素材」と表現を変えている。

また、除去力と言うカテゴリーを追加し、その中に「洗剤の知識」と、新たに「用具の知識」を加えた。そして、「保護材の知識」をもっと幅広く「予防の知識」と変更し、予防の一つとして保護材を考えることにした。それらを含む「6つの掃除知識」に分けて考え、その活用法をなるべくシンプルにまとめたものが「掃除の方程式」である。



掃除の方程式では、建物の環境や状況により様々に変化する掃除方法をXとした場合、答えを出すために必要とされる知識は「素材や場所の知識」・「汚れの知識」・「洗剤の知識」・「用具の知識」・「作業方法の知識」・「予防の知識」となる。


ビルクリーニング技能士の教本の中では、予防の知識に当たるのは保護材の知識とされていたが、掃除予防という観点から考えるとその範囲はとても広く、私のまとめた掃除学では予防の知識にその真髄があると言える。

さらに、予防の知識の究極理論と言えるのが、掃除がラクになる法則である。方程式では保護材(コーティング)の知識を含む予防の知識と、掃除がラクになる法則は別の章として紹介している。


これらの理論を掃除の現場作業に置き換えてみると、現場で実際に掃除をするときは・・・

始めに「どんな汚れ?(汚れの知識)」が「どこに? (素材や場所知識)」付着しているかを理解(現状分析)する事が大切であり、次に作業方法を決定する。そのためには、汚れを除去する力として「何を使って?除去力」が必要でとなり、除去力には物理的除去力と化学的除去力がある。それらを現状分析の結果に対して必要な除去力を選出し、効果的に活用するための「どのように?作業するか(作業方法の知識+予防の知識)」を考えて、掃除作業の方法を決定することになる。

掃除理論の各項目は、追求していくと奥深く複雑であるともいえる。

少しむずかしく感じるかもしれなが、なるべくカンタンでわかりやすく説明していきたいと思う。



掃除の方程式の考え方

掃除の方程式の考え方をかんたんに説明すると・・・


どこに? どんな汚れ? が付着しているかを理解して、

なにを使って? どのように? 掃除を行うのか考える。

この時、予防についても考える事で次回の掃除はラクになる。


いわれてみれば、当たり前の事である。

しかし、ここに、掃除理論が集約されている。

掃除の方程式の展開図

この内容を、必要な知識や情報の項目として展開してみると、次のような図になる。



掃除の方程式を簡単に説明すると・・・


掃除方法の決定 = 現状分析 × 作業法


ここに、掃除を行うために必用な知識が含まれている。

順番はどちらを先に考えても良いが、「どこに?・どんな汚れ?」を理解して、「なにを使って?・どのように?」掃除をするかを考える。

このとき、予防も一緒に考える事で汚れにくくなり、次回の掃除がラクになる。


一般の方でも、ネットで「掃除したい汚れや場所(素材)」について検索すると色々調べる事が出来き、それを理解して「なにを使って?どのように?」掃除をするかも調べることができる。

掃除の方程式の現場解釈は、


掃除方法=(どこに?+どんな汚れ?)×(なにを使って?+どのように?) 

は、掃除方法の決定 = 現状分析 × 作業法 


となるのである。



★ 現状分析内容


どんな汚れ?(汚れの知識)

汚れの分析手順 :①付着原因 ②種類 ③付着状態 ④経時変化

どこに?(素材や場所の知識)

素材の分析手順 :①種類と使用部位 ②耐水・耐洗剤性 ③表面形状や硬度および吸水・吸湿性



——————- 分析結果を基に ——————-



★ 作業方法の決定


何を使って?(除去力)

用具の知識(物理的な除去力): ①用具の選定 ②用具の応用

洗剤の知識(化学的な除去力) :①洗剤の選定 ②洗剤の上手な使い方


どのように?(作業方法の知識)

除去力の活用法 :①作業の付加条件 ②作業区分による作業内容の選定 ③掃除の基本的な作業手順


予防は?(保護剤等の知識・他)

上記の内容を、詳細図にまとめてみると・・・


掃除の方程式の詳細項目図


この詳細図に沿って掃除方法を決めることで、各環境にあった掃除方法を導き出すことができる。詳細図は、掃除の方程式のすべての項目が表示されている。

現状分析では、汚れの分析と、素材や場所の分析を行う。詳細図では、どのように分析するのか?分析項目までが表示されている。

さらに、分析結果をもとに、作業法を決めるための除去力選出・作業方法決定に加えて、掃除予防についての項目も表示されている。

詳細図に関しては、項目ごとに本書で紹介していくが、少し難しくなったので、もっと簡単に考えていくことにしよう。

掃除方法を決定するために、はじめに使うのは簡略図が使いやすいのではないだろうか。


掃除の方程式の簡略図

先ほどの展開図や詳細図から、現場目線の簡略図に変えて考えると分かりやすいと思う。

それぞれの項目に、目的の掃除を行うための、情報を当てはめていき、知識については、インターネットで検索する事もできる。



掃除の方程式、まず始めに・・・ 現状分析として・・・

どんな汚れ?が、どこに?あるのか考えてみる。

この時、「どんな汚れ?」 「どこに?」 は、どちらを先に考える? 

という順番はなく、相互の情報を共有しながら、同時に考えていく。


例えば、ホコリ汚れがリビングにある家具の上を汚染しているので、その掃除方法を考える。

情報としては、どんな汚れ?は「ホコリ汚れ」、どこに?は「リビング・家具の上」となり、知識としては「ホコリ汚れの知識」と、付着している家具の「位置や表面素材についての知識」などが求められる。


この時、環境要因も含め、なぜ汚れが発生し付着したのか?などのプロセスについても考えることで、予防対策を行いやすくなる。…



次に、作業方法を考える。・・・

こちらも、「なにを使って?」 「どのように?」 は、どちらを先に考える という順番はなく、汚れや素材の分析情報をもとに、相互を同時に考えていくことになる。

なにを使って?については、除去力として・・・掃除用具や洗剤などの選出を行う。

どのように作業を行うのか? については、除去力の活用法を考え、掃除方法を決定していく。



そして、掃除方法を決定する際に、「予防」 についての対策も考えることで、

次回の掃除がラクになるのである。


各「知識項目」の解説は、別項にて紹介していく。




第2章では、「どんな汚れ?」 汚れの知識 について解説したいと思う。



著者:植木照夫(クリーンプロデューサーベスト株式会社 代表取締役、掃除学研究所所長)

植木照夫の掃除学研究所

掃除学研究所は、植木照夫により発案された、掃除理論の集約的公式「掃除の方程式(うえきの方程式)」と「掃除がラクになる法則(うえきの法則)」を基に、幅広く関連知識をまとめた新しい学問の研究サイトです。