水廻りの水アカ(スケール)汚れ:日常生活に伴うその他の汚れ -2

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住まいの掃除については、「住まいの健康★掃除マニュアル(掃除方法)」参照ください。




水アカ(スケール)汚れは硬く 除去作業で素材が傷つきやすい!

水廻りの掃除で1番厄介な汚れは水アカ(スケール)汚れと言えます。

特に風呂などは近年、浴室乾燥機能付きの換気扇が主流になってきており、汚れの主役もカビ汚れから水アカ汚れに変化してきている傾向にあります。






水アカ(スケール)汚れ とは(どんな汚れ?)

東京都水道局によると、「スケールとは、水中のカルシウムやマグネシウム(いわゆるミネラル分)が析出したもののことです。加熱などで水分が蒸発することによって発生します。スケールの発生事例として、電気ポット内、やかんの口、加湿器の口などに付着する白色のものが挙げられます。」とあります。

https://www.waterworks.metro.tokyo.jp/suigen/topic/02.html


ミネラルは、水の硬度(硬水・軟水の基準)を決める成分でもあります。




ちなみに、東京都の水道水は(図1)、硬度が高いと石けんの泡立ちが悪くなることから300mg/L(水1リットル中に炭酸カルシウムとして300mg)以下となっています。

また、水質管理目標設定項目として、おいしさの面から10〜100mg/Lが設定されているそうです。



その他、水アカなどを除去する研磨製品を製造している、株式会社ノリタケコーテッドアブレーシブ(NCA*一般的には食器製造で有名な株式会社ノリタケカンパニーリミテドの子会社)によると…


「ガラスは、フッ化水素やリン酸以外の酸にはほとんど耐えますが、アルカリ性物質には非常に侵食されやすく、条件によってはかなり短期間で、侵食により風化されます。

水滴や水蒸気の付着により、ガラス表面のナトリウムイオンと水の水素イオンとがイオン交換することで*水酸化ナトリウム(強アルカリ性)を生成します。

これによって、ガラス表面が侵食され白く濁ってきます。

また、水に含まれるカルシウムなど金属酸化物…などは科学的に表面に定着します。…」と説明しています。

化学反応による汚れ付着除去は、非常に困難な作業になると言えます。



水アカ汚れは硬い

水アカ汚れ(スケール)の主な成分は水中のカルシウムやマグネシウムですが、石鹸カスや皮脂などの汚れが加わり、堆積した複合物質が水アカ汚れとなります。

カルシウムといえば人体の骨を作る成分としても知られ、マグネシウムは金属を思い出します。

水アカの主成分は、水の硬度を左右するほど硬い物質と言え、堆積していくと非常に硬い汚れとなります。

これらの成分は水に溶けないので、乾燥すると水分だけ蒸発して残ります。

素材の表面形状に凹凸がなく平滑なものでも、汚れが付着することで凹凸ができ、さらに汚れがつきやすくなるとも言え、これらを繰り返し堆積していきます。



*水廻りに発生する類似の硬い汚れとして、金属石鹸(水に含まれるカルシウムの陽イオンは、通常は軟水に溶ける石鹸と化合物を作ってしまい出来た物質)や、トイレなどに堆積付着する尿石(尿に溶けているカルシウムイオンが濃縮および炭酸などと反応したカルシウム化合物)などがある。




汚れる場所(どこに?)

水が乾燥すると付着する汚れなので、室内では主に水廻りとなります。


風呂場を例に解説します。

風呂場は、浴槽にお湯を貯める又はシャワーの使用など湯気が出る為、全体的に水滴が付着します。

したがって、全てに水アカ汚れが付着すると言えます。

しかし、直接水のかかるシャワーより下の部分(洗髪するので使用者の身長より下)、さらに水滴は下へ落ちて行くので、特に床面に近くなるほど汚染度は高くなると言えます。

また、形状的に水が溜まりやすい箇所も、汚れの付着は多くなります。





水アカ汚れより軟らかい素材は掃除の際に傷つきやすい

水アカ汚れは、基本的に他の汚れと比べて硬い汚れです。

ユニットバスおよび近年の風呂場(浴室)では、プラスチックやFRPなど樹脂素材が多く使用されている。堆積した水アカ汚れは樹脂素材よりも硬いので、物理的な除去力で汚れを除去しようとすると、素材に傷がつきやすい傾向にあります。

また、洗浄剤などで分解する場合も、強い化学的除去力が必要となり、素材を傷めるリスクも高くなるといえます。



水アカ汚れより素材が軟らかい部位例


①天井・壁面(樹脂製)

浴室の天井・壁面上部は、主に使用に伴う湯気により水滴が付着し水アカが堆積するケースが多く、シャワーより下部(使用者の身長より下)の汚れより付着率は少ないです。

皮脂や石鹸カスが付着しにくいぶん、下部の水垢汚れとは見た目的にも違いがあると言えます。




②壁面棚

壁面に取り付けてある棚カウンターなどは、凹凸部となり上面は水が溜まりやすいと言えます。

さらに、水滴は下へたれて行くので、その際の通り道となる部分も同じです。

裏側部分も天井と同じ原理で、湯気などにより水滴がたまり、シャワーより下にあるので、全体的に皮脂や石鹸カスも付着します。




③浴槽エプロン・床

意外な汚れる箇所としては、浴槽エプロン部。浴槽は湯をためる場所で常に水がある所ではあるが、排水も良い。

外側のエプロン部は、溢れる湯だけでなく、洗い場側にあり、直接かかる水や石鹸カスや皮脂などの他、床からの跳ねもあり、汚れが付着しやすい場所と言えます。

床面は、すべての汚れ原因の通り道。ここも直接かかる水や石鹸カスや皮脂など、汚れが付着しやすい箇所です。

さらに、樹脂製の凹凸の多い床は最も掃除が大変な場所です。

風呂場の床は水はけを良くするためや防滑のために、凹凸が工夫されていて複雑な形状のものが多く、硬い水アカ汚れが堆積すると、素材を傷めず除去するのは困難(技術と根気が必要)となります。




④扉下アルミ素材部

扉下(レール部含む)は、アルミ素材が使用されることが多く、風呂上がりの濡れた人が出入りすることで、汚れが付着しやすい部位です。

アルミ素材は、一見硬度があるように思えますが、素材自体はそれほど硬くありません。

水アカ汚れよりも、軟らかい素材と言えます。

なので、水アカ汚れが堆積付着すると、素材を傷つけず除去するには困難な部位とも言えます。

扉のガラス部の素材がポリカーボネートなどの樹脂製の場合、同じことが言えます。

水アカ汚れより硬い素材は柔らかい素材より掃除はしやすい

汚れよりも硬い素材は、掃除がしやすいと言えます。

水栓金具や鏡などは、硬い素材と言えます。

しかし、水アカ汚れも硬いので、物理的・化学的除去力の強さを上げていく事は、素材を傷つけるリスクが高くなるという事でもあります。

水栓金具も、一見同じ素材に見えても樹脂製のカバーにメッキ加工してあるものもあるので、触ってみたり軽く叩いてみたりなど、金属素材か確認することも大切です。

鏡も、新しいうちは曇り止めや防汚コーティングがしてあることもあり、コーティングは柔らかいので、効果があるうちは優しく拭く程度の掃除が良いでしょう。





掃除方法例

素材を傷めにくい方法として、メラミンスポンジとブラシ類を使います。



① 画像は、水栓下にあるカウンターに付着した水アカ汚れです。


② メラミンスポンジを水で濡らし、こすり洗いします。

画像の水垢汚れの場合、だいぶ汚れが堆積しているので、時間と根気(画像の範囲で20分程度)が必要になります。


③ 接続部や角などの凹凸部は、やや硬めのナイロンブラシを活用します。


④ 汚れが落ちにくい場合は、風呂用洗剤を塗布して少し(5〜10分程度)浸け置きし、汚れ表面が軟らかくなってから、メラミンスポンジでこすると効果的です。




予防

水アカ汚れが堆積すると除去が困難になるので、汚れを溜めない(堆積させない)ための日常掃除が大切といえます。

予防対策の究極は、水滴(水分)を全て拭き取れば汚れは付着しないとも言えるのですが、湯気も含めて全ての水分を毎日拭き取るのは、とても大変なことと言えます。

(*実際、ハウスクリーニングの現場経験で、100件中1・2件それらを行なっているお宅もあり、水アカ汚れがほとんどない風呂もありました。)

それぞれの家庭で状況は異なると思うので、出来る範囲でも水分を取り除くことで、水アカ汚れの予防になります。

*予防や掃除方法については、各住まいの掃除方法を参考にしてください。

植木照夫の掃除学研究所

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